COLUMN海外メディア戦略コラム
2025年グローバルPR最新トレンド—海外プレスリリース配信で成果を出す実践知と事例
検索のされ方や情報への信頼が揺れるなか、2025年の広報は「何を先にどう見せるか」で差がつきます。グローバルPRでは、海外向けプレスリリース配信を軸に、一次情報を多言語・多角的に示し、編集部にもアルゴリズムにもきちんと届く設計が欠かせません。
この記事では、2025年の主なトレンドを踏まえつつ、到達チャネル、原稿の組み立て方、可視化素材、測定の実務を整理しました。最後にPressReleaseJapanの関連事例も取り上げ、すぐに取り入れやすいポイントまで落とし込んでいます。
目次
- 2025年の地殻変動—検索と信頼の変化が広報に与える影響
- 業界特性と編集観—海外配信で求められる一次性と透明性
- 実践ノウハウ—海外プレスリリース配信を軸にした運用設計
- NGと回避策—誇張・不整合・翻訳品質の落とし穴
- 事例解説:PressReleaseJapanの関連リリース
- 最新動向と示唆—”読まれる要約”と”引用されるデータ”へ
2025年の地殻変動—検索と信頼の変化が広報に与える影響

2025年は、検索結果の上部に要約が表示される場面が一段と増え、ユーザーが外部リンクまで進まないケースが目立ち始めています。要約ベースで情報が消費されるほど、リリースの「冒頭サマリー」と「リンク先の補足資材」は、これまで以上に分かりやすく、再利用しやすい形に整えておく必要があります。
GoogleはAI要約が利用頻度を押し上げたと説明する一方で、第三者の調査ではクリック率の低下も報告されています。広報側には、「要約で伝わる骨組み」と「本文で選ばれる中身」を同時に設計する視点が求められます。
信頼環境では、2025年版のグローバル調査で「リーダーへの不信の広がり」と「雇用主発の情報への相対的な信頼」が示されました。企業は、まず事実と根拠を前に置き、第三者の検証や時系列データで裏打ちされた「検証しやすい一次情報」を中心に据えるべきです。ブランドの主張だけを積み上げるのではなく、測定指標・調査設計・外部比較を一緒に出すことで、読者側の「疑うコスト」を下げることが、2025年の海外プレスリリース配信では勝ち筋になります。
業界特性と編集観—海外配信で求められる一次性と透明性
海外の編集部が見ているのは、「一次性」「影響の大きさ」「数字の再現性」の3点です。金融・テック・カルチャーいずれの領域でも、冒頭で「誰が・何を・どの指標で・いつから」を明示し、そのうえで本文で方法と検証データを展開する流れが基本になります。
ジャーナリストの最新サーベイでも、限られた時間のなかで扱いやすい素材を求める声が強くなっています。構造化された要約、表記の一貫性、記事側でそのまま使える図版・写真の有無が、採用判断を大きく左右します。
一方で、生成AIの活用については「使い方次第」というスタンスが主流です。原稿やピッチのたたき台づくりとしての利用は広がる一方で、ファクトチェックや出典の明記、引用の整合性については、以前にも増して厳しく見られています。編集現場の負荷は高止まりしており、「検証しやすい素材」を出せるかどうかが、採否のボトルネックを外す近道になっています。
実践ノウハウ—海外プレスリリース配信を軸にした運用設計

実務では「配信チャネル」「原稿設計」「可視化素材」「測定」の4つをセットで組み立てます。配信チャネルは、グローバル到達の土台としてワイヤー(例:PR Newswire/Business Wire等)を活用しつつ、自社サイトの英文IR/News、ソーシャル、業界コミュニティを同時に解禁するのが基本線です。
主要プラットフォーム各社は2025年も配信先の拡充と生成系ツールの提供を進めており、一次情報をはじめから「複数の形」に展開する前提で運用を考えると効率的です。
原稿設計は、「見出し=事実+示唆」「リード=主要KPIと日程」「本文=背景・方法・比較・引用可能なデータ」という順で、冒頭300字に「要約されても伝わる要点」を集中させます。非財務テーマでもKPIを置き、比較対象やベンチマークを添えることで、二次記事化しやすくなります。
2025年は「AIに要約されても価値が落ちないか」が重要な視点です。小見出し(H3)や図版キャプションに情報を凝縮し、ワイヤー各社のベストプラクティスを参考に、定義と注記を丁寧に書くことで誤読を防ぎます。
可視化素材は、キーファクトをまとめた1枚、指標推移のチャート、エリア別の比較表、20〜30秒の字幕付き動画、ロゴ・人物・製品の3点写真をひとまとまりで用意するのが目安です。2025年の検索環境では、見出しの直下に「図解で一気に理解できる要素」があるかどうかが、再流通のしやすさを左右します。
測定は「初動1〜3時間のワイヤ露出・ポータル掲載」「24時間の二次記事・SNS」「1週間の業界媒体での言及」と時間軸で区切り、素材の差し替えや見出しの微修正でチューニングしていくのが定番の打ち手です。
NGと回避策—誇張・不整合・翻訳品質の落とし穴
典型的なNGは、誇張と根拠不足です。優位性をうたう場合は、期間・対象・評価軸をはっきり書き、第三者データのURLや測定ロジックも示して「検証できる状態」にしておくことが欠かせません。
次に、多言語展開で起こりやすいのは不整合です。原文と翻訳版で数字・固有名詞・日付が食い違うと、一気に信頼を損ねます。翻訳は「専門用語の辞書」「固有名詞リスト」「数値表記ルール」をあらかじめ共有し、最終版ではバージョン管理まで含めてチェックしてください。
また、要約主導の環境では「見出しと本文のズレ」が致命傷になります。見出しで立てた主張が本文で裏づけられていない、あるいはデータが本文の奥に埋もれていると、要約で意味を失ってしまいます。回避するには、リード段落にKPIと比較対象を必ず並べ、本文冒頭に図解へのリンクを置くなど、配置から最適化することが有効です。
加えて、生成AIの補助利用を隠す必要はありませんが、引用・出典・免責の表現は人が責任を持って確認し、誰がどこまで担保しているのかを明確にしておきましょう。
事例解説:PressReleaseJapan
Futaba Tsushinsha×Launchmetrics(2025年2月)
ファッション/ビューティ領域のデータ連携を発表したリリース。アジア展開という地理的な広がりと、提供機能の具体像が両立しており、業界紙が二次引用しやすい形になっています。
UNITED ARROWS グローバルEC開設(2025年9月)
開始時期・体験価値・URLを冒頭で提示し、海外読者に必要な情報を最短距離で届けています。自社サイト送客だけを目的化せず、ブランドの世界観の説明と並走させる設計が印象的です。
SusHi Tech Tokyo 2025関連の国際発信(2025年7月/2024年5月)
都市×スタートアップの国際連携を、指標や都市比較とあわせて伝えた好例です。イベントという「場」に寄せた時間情報と、コミュニケーションの狙いを言語化することで、海外編集部にも価値が伝わる構成になっています。
https://pressreleasejapan.net/2025/07/17/sushi-tech-growing-up-fast-to-make-tokyo-most-startup-friendly-city/ https://pressreleasejapan.net/2024/05/25/sushi-tech-tokyo-2024-climaxes-with-a-pledge-cities-and-startups-worldwide-linking-up-further-to-create-a-sustainable-future/
最新動向と示唆—”読まれる要約”と”引用されるデータ”へ

2025年の広報は、要約表示の増加と編集部の人員制約という二重のプレッシャーの下にあります。そのなかで有効なのは、最初の300字で「独自データ」「エビデンスの所在」「比較軸」を示し、本文側では図版・脚注・外部出典で再現性を支える二層構造です。
ジャーナリスト調査も、時間の不足と構造化された素材への期待を裏づけており、企業側の「要約への適合」と「検証のしやすさ」が露出を左右する決め手になりつつあります。
配信インフラは機能拡張が進み、1本のリリースを複数フォーマットに展開する支援は一般的になりました。ただ一方で、信頼をめぐる揺らぎは続いています。だからこそ、出典・方法・免責・データ定義の書きぶりを磨き、「検証できるかどうか」でグローバルPRの土台を固めることが、海外で成果を積み上げる近道と言えます。
まとめ
2025年は検索と信頼の前提が変わり、海外での情報流通は「要約で伝わり、本文で選ばれる」構造が標準になりました。海外プレスリリース配信では、ワイヤ+自社サイト+ソーシャルの同時解禁を土台に、冒頭300字にKPIと比較軸を集約し、図版と脚注で検証のしやすさを担保します。
編集部の時間制約を踏まえ、再利用しやすい図版と短尺動画、統一された用語と数値をそろえておくことが、採択率を押し上げます。生成AIの補助は下書きや再構成までとし、出典や免責は人が最終確認して整合性を保証するのが安心です。
PressReleaseJapanの事例が示すように、時期・URL・数値・目的を冒頭に置く「導線を意識した書き方」は、海外露出の歩留まりを高めます。グローバルPRは、検証可能性と多言語での一貫性を土台に、「要約に強く、データで語る」設計へと進化させていく段階に来ています。



