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ブレグジットから1週間後、その行方は?【イギリス】

2020年1月31日、イギリスはEUを離脱しました(ブレグジットの経緯に関しては、過去の記事を参照ください)。現在は「ブレグジット移行期間」のため、そこまで大きな変化は見られていないというのが大方の見方ですが、今後、ブレグジットによる影響がEU諸国、世界、そして日本にも拡がっていくでしょう。

グローバルマーケティングで成功を収めるには、世界の動きをいち早く察知する必要があります。本記事では、ブレグジットがもたらした世界への影響を、様々な記事を基に紹介します。

イギリスの主要新聞の一面(2020年1月31日)2020131日)

イギリスとEU諸国の通商協定

イギリスの大手ニュースメディアであるBBCは、今後イギリスが解決しなければいけない問題として、以下の5つを挙げています(参照)。

1.EUとの通商協定締結

2.イギリスの安全保障の確保

3.食べ物の流通を止めない

4.世界で新たな役割を築く

5.あれだけ議論しただけのことはあったと証明する

特に、EUとの通商協定締結に関しては、今後のイギリスの未来を大きく左右する事柄であると考えられるため、大きな注目が高まっています。

通商協定とは、国家間の関税や輸出入のルールが定められたものですが、これまではEU内の輸出入には関税がかかりませんでした。しかし、ブレグジットにより、イギリスとEU間で新たな通商協定を定める必要が生じています。イギリスは当然、EUと積極的な貿易を進めたいと考えています。また、EUもブレグジットを実施したイギリスをよく思わない一方、EUの大切な貿易相手国として良好な関係性を保ちたいと考えています。

新たな通商協定は、これらの国の経済を左右する大きな要因となりますので、移行期間が20201231日まで設けられています。2020年内に取り決めを行い、2021年から新たなルールがスタートする予定です。協定内容が少しずつ決まっていくにつれ、取り決め内容によっては、ヨーロッパ諸国、または世界全体に大きな影響を及ぼすこともあるでしょう。

イギリスが生鮮食料品の供給を維持できるかに注目

ブレグジットを受け、食料品、とくに野菜の供給が保てるかどうかに注目が集まっています(参照)。イギリスの首都ロンドンは、北海道よりも高緯度にあり、年間を通して野菜を栽培することが難しいというのが現状です。これまでは野菜や果物の供給はEU諸国からの輸入に頼ってきましたが、今後は食料品の価格高騰は避けられないだろうと予想されています。

ブレグジットから1週間がたった202027日の市場での野菜や果物の値段は、わずかな値上がりが見られるものの、ブレグジットの影響であるのか、それとも季節の需要と供給のバランスによるものなのかがわからないというわずかな変化ということですが、今後、食料品が関税の対象になり、イギリス国民の食卓を直撃する可能性もあるのです。

イギリス在住のEU国民の不満の声

イギリス在住のEU国民からは、不満や不安の声が出始めました。EU加盟がもたらしていた大きな影響の1つは、EU内での人の移動が自由になることでしたが、ブレグジットにより、イギリス国内に住んでいたEU国民はこれまでのように在住することが難しくなります。もちろん、急に強制送還されるということはないとは思いますが、今後は様々な手続きが必要になると考えられます。

また、イギリスに住むEU国民たちからは、自分たちが歓迎されていないと感じるなどの不満の声も挙がっています。これはもちろん、EU諸国に住むイギリス人にも当てはまりますし、仕事や学業のために移住をしている人たちにも当てはまります。今後どのような取り決めになるかは不透明ですが、ブレグジットはイギリスのグローバル化にも大きな影響を与えることになるでしょう。

様々な企業が今後の動きを警戒

利益の多くを貿易に頼っていた企業は、イギリス政府の今後の取り決めに対して不安を募らせています。基本的には、今後の決定により貿易による利益上昇は考えにくく、多くの企業が利益を減少させると考えられます。そのため、海外支所を移転させたり、畳んだりする企業も出始めています。

また、大きな注目が集まっていることの1つに、漁船の漁業権を巡る問題があります。ブレグジットにより、英領海での漁業が禁止されるのか、それともこれまでと変わらずに実施できるのかについては、漁業関係者にとっては非常に大きな問題です。

終わりに

ブレグジットにより、世界的に大きな影響が出るかとも考えられていましたが、現在は移行期間ということもあり、比較的落ち着いているといった状況です。今後、イギリスとEU間の取り決めが進んでいくにつれ、関連する企業は様々な対応に迫られます。内容によっては、欧州はもちろん、世界経済全体に大きな影響を与えることもあるでしょう。2020年はブレグジット問題の行方からも目が離せなくなりそうです。

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※本原稿は2019年に作成・配信したものに一部加筆修正して掲載しております。

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