COLUMN海外メディア戦略コラム
コロナ禍における日本の報道の傾向(イギリス編)
コロナの拡大により、ニュースネタがコロナづくしの日本。コロナによる外出自粛と同じように、PRの自粛を行っている企業も多いことでしょう。
しかし、PRの仕方を工夫することで、コロナ禍でも海外現地紙にピックアップされる可能性が高まることは、これまでにも紹介してきた通りです。国ごとの特徴はありますが、コロナとうまく組み合わせたり、時流に沿った配信をしたりすることで、海外で報道される可能性は格段に高まります。
今回は、コロナ禍における日本の報道の傾向の続編として、イギリスの主要メディア「BBC」による日本の報道について紹介します。
イギリスと日本に関連した話題が報道の中心に
画像引用元:BBC
BBCによる日本関連の報道に関しては、イギリスと日本に関連したニュースが積極的に報道されています。
例えば、9~10月には、イギリスと日本による新たな通商協定の締結が大きなニュースとして取り上げられました。イギリスとしてはブレグジット後に行われた主要国との初の協定締結ということで、イギリス国内で大きな注目を集めました。
また、コロナ禍という厳しい状況において、3ヶ月という異例のスピードで合意に達したことでも話題となりました。コロナによって会合のスタイルも変わり、今後はオンラインを中心としたスピーディな取り決めが中心になることにも注目が集まっています。
また、2021年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに関しても、イギリス国内で頻繁に取り上げられています。最近では、9月に国際オリンピック委員会が2021年のオリンピック実施を進めるという声明を発表したことを受け、日本のオリンピック担当相である橋本聖子氏が中止は考えていないと回答した発言が、イギリス国内で大きく取り上げられました。
イギリスではコロナの新規感染者が増えている現状もあり、この発言に対しては批判的な意見も多くあります。オリンピックは世界で注目のイベントということもあり、今後も報道される可能性が高いと考えられます。
最近、イギリスのメディアで非常に多く紹介されているのが、ハヤブサ2の地球帰還のニュースです。BBCでは、ハヤブサ1の時代から積極的に報道を行ってきましたが、ハヤブサ2が帰還する12月ごろには、さらに多くのニュース記事が公開されました。
このように、イギリス国内においては、日本やイギリス、もしくは世界を巻き込んだニュースが話題の中心です。しかしながら、このような大きな出来事ではなくても、イギリス国内で報道されている日本のニュースもありますので紹介します。
イギリス国内で報道された日本のローカルネタ
イギリス国内においては、日本に関する報道の中心は、大きな出来事に関連したものがメインです。しかし、ごくたまに日本に関するローカルなネタが報道されることがあります。これらのネタがなぜ報道されたのかを考えることは、コロナ禍において海外PRを実施する上で非常に重要です。
日本で刺青のタブーをやぶる活動が活発化
日本ではタトゥーは刺青と呼ばれ、やくざなどのイメージを持つ人が多い一方で、イギリスではファッションの1つとして取り入れられています。そんな中、日本においてタトゥーの見直しを図る各種イベントが、イギリスにて報道されました。
例えば、刺青愛好会は、普段は隠している刺青を誇らしげに披露する会を年に1度程度開催しているという情報や、刺青に特化したアート展示会が紹介されました。また、刺青客が禁止されていることが多い銭湯の中でも刺青OKの銭湯を探し、刺青と銭湯の見事なマッチアップを紹介する写真も掲載されました。
ヨーロッパでは積極的に受け入れられているタトゥーですが、日本ではマイナスのイメージが強いことから、多くのイギリス人が疑問に思っている文化の違いです。コロナ禍であっても、イギリス人の関心をそそるような文化の違いに関する報道は、積極的に取り上げられる傾向にあるようです。
大坂なおみが新アニメのモデルに!?
画像引用元:BBC
テニス4大大会の1つがあるイギリスでは、テニスはとても人気のあるスポーツです。そんな中でイギリスに飛び込んできたニュースが、大坂なおみ選手が新作アニメのキャラクターモデルに抜擢されたという情報です。
イギリスでは、テニスだけでなく、日本のアニメも人気があります。「スポーツ選手×アニメ」のコラボテーションのインパクトは大きく、大坂選手のファンはもちろんのこと、イギリスのテニス好き、アニメ好きにも大きな衝撃を与えました。
日本ではロボットオオカミの利用が人気?
画像引用元:newsround
最後に紹介するのは、地方を中心に広がっているロボットオオカミについてです。日本では現在も熊が出没する地域があり、作物を荒らすことがあります。そんな中で積極的に導入されているロボットオオカミは、ソーラーエネルギーを活用した赤く光る眼が特徴的で、首も左右に動きます。
日本でもそこまで大きく取り上げられていない話題のため、イギリスで報道されているのは驚きです。しかし、イギリス人の関心にうまく乗っかることができれば、たとえコロナ禍であっても、報道されるチャンスは大いにあります。
終わりに
コロナ禍のイギリス国内で報道されているネタは、イギリスや日本、世界が関係している大きな出来事が中心です。しかしながら、イギリス人の興味や関心を惹くようなネタであれば、ローカルなネタであっても報道されます。
そのため、海外PRを行う際には、その国が持つ歴史や文化を知るとともに、時流に沿った話題を扱う「ローカライズ」が非常に大切です。
コロナ禍においては、人々の興味関心が限定化されやすいため、うまく実施すれば世界のメディアでピックアップされる可能性が高まります。海外PRを効果的に進めたいとお考えの方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。