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進む海外での5G実用化【通信最前線】

2019年11月2日、ラグビーワールドカップが大盛況のうちに終わりを告げました。横浜国際総合競技場で行われた南アフリカとイングランドの決勝戦では、7万103人の観客動員数を記録し、2002年に行われたサッカーワールドカップ2002の観客数を上回るなど、日本のスポーツ界の歴史に残る大会となりました。

しかし、大会の裏でもう1つ注目されていたものがあります。それがラグビーワールドカップに合わせてNTTドコモが実施した「5G」のプレサービスです。ラグビーの試合会場や日本各地に設けられた「ファンゾーン」と呼ばれる場所にて、5Gを用いたスポーツビューイングを楽しむことができるサービスを提供し、利用者からはポジティブな感想が多く寄せられました。2020年3月に国内5G商用化が始まり、期待は高まるばかりです。そこで本記事では、5Gに関する世界の実情について報告します。

5Gに関する世界の実情

一般財団法人マルティメディア振興センター(以下FMMC)がまとめた資料によると、アメリカと韓国が2018年に5Gの仮運用、2019年に商用化を開始しており、日本、中国、および欧州が2019年中に5Gの仮運用を終了させ、2020年の商用利用を目指していると報告されています。

本記事では、日本に先行して商用利用をスタートさせたアメリカおよび韓国と、近年急激に5Gの拡大を進めている中国における「5Gの最新情報」をお届けします。

 

アメリカの5G事情

2019年4月3日に5Gの商用利用を開始したアメリカ(リソース

 

2018年10月1日、アメリカの大手通信会社「Verizon」が、世界で初となるコンシューマー向けの5Gサービスを、ヒューストン、インディアナポリス、ロサンゼルス、サクラメントの4都市で開始しました。その後Verizonは、2019年4月3日にスマホ用の5Gサービスを開始。現在はアメリカの4大キャリアがアメリカの各都市でサービスを展開しており、2019年10月22日から24日までロサンゼルスで開催された「MWC19 Los Angeles」では5Gに関する話題が中心となるなど、アメリカ国内においても5Gが大きな話題となっています。

今回は、アメリカの4大キャリアの中でも、5Gに関して一歩リードしているといわれているVerizonの状況を中心に見ていきます。

まず、5Gを利用するためには、5Gに対応したデバイスを準備する必要があります。Verizonでは、下記の3つのデバイスの他、5Gアダプタ「5G Mods」を装着することでMotorola moto z4にも対応が可能です。しかし、5Gを利用できる端末は限られているというのが現状です。

 

気になる料金プランですが、Verizonでは、4Gのデータ使い放題プランに10ドル/月を追加することで5G回線も使い放題になるプランを、スタートプランとして提供しています。現在、Verizonの使い放題プランはいくつか用意されていますが、最も安いプランは35ドル/月ですので、10ドルを加えた45ドル/月を支払うことで、5Gの使用も含めてデータが使い放題となります。5Gによる通信費の高騰が懸念されていましたが、比較的安価に市民に提供できているというのがアメリカの現状です。

 

順調に見えるアメリカの5G事情ですが、実は多くの問題を抱えています。特徴的なものとしては、5Gの電波状況が芳しくないこと、5Gの利用が高価格のデバイスに限定されていることが挙げられます。

5Gは多くのデータ通信量を必要とするため、必然的に高い周波数を利用することになりますが、これは同時に電波範囲が狭いという問題が生じます。そのため、同じ都市内でも、通信状況がよいエリアと悪いエリアがあり、利用できる場所が限定されるという問題が発生しているのです。また、屋外は比較的電波を受信しやすいのですが、屋内ではアンテナを付けるなどの配慮をしない限り利用するのが困難という情報もあります。条件を満たせば2Gbps以上の通信速度が出る一方で、そのエリアはごく限定された範囲のみというのが現状です。

現在のところ、アメリカ国内において5G利用者の急激な増加はみられませんが、5Gのための基地局の増加や5G利用端末の増加により利便性が向上することで、利用者は徐々に増加していくことでしょう。

 

韓国の5G事情

2019年4月3日に5Gの商用利用を開始した韓国(リソース

 

アメリカと同日に5Gの商用利用を開始したのが韓国です。2019年4月3日に韓国の通信3大キャリアは、一斉に5Gのサービスをリリースしました。5Gに対応した端末は、4月3日時点では、Galaxy S10とV50 ThinQしかなかったにも関わらず、多くの韓国人がデバイスを購入し、5Gの体験ゾーンに足を運びました。しかし、実際には4Gよりも遅い通信速度しか出なかったり、5Gを利用できるエリアがごく狭い範囲に限定されていたこと、また、5Gを利用して活用できるコンテンツが少ないことなどから、5Gの人気が一度は急激に落ち込んだというのが韓国の現状でした。

2019年4月3日多くの人々が5Gの会場に足を運んだ(リソース

 

しかし、韓国はこの問題の改善に乗り出します。

基地局を増やすことにより電波状況は少しずつ改善され、基地局の近くでは(条件によっては)1Gbpsを超える通信速度を獲得できるようになりました。また、韓国のウリの1つである「アイドル」に焦点を当て、VRでアイドルとデートができるアプリや機能を開発するなど、5Gの性能を生かしたコンテンツが出来上がりつつあります。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=77&v=SkYRCNmexXI&feature=emb_logo

韓国での5Gの新しい可能性をまとめた動画(2019年11月2日リリース)

 

また、通信事業者が5G端末を激安で販売するという手法により、5G利用端末の利用率が劇的に伸び、5Gの利用者は2019年9月9日の段階で300万人を超えたとされています(参照)。

電波状況に関しては、利用できるところとできないところ、電波が強いところと弱いところが未だに存在し、アメリカと状況は似ていますが、国民への普及スピードはアメリカよりも速いようです。

 

中国の5G事情

急激なスピードで5Gの普及が進んでいるのが中国です。当初の予定では2020年の商用化を目指していた中国ですが、中国は商用化を前倒しし、2019年11月より5Gの商用化を開始しました。

驚くことに、中国では商用化開始の時点で、アメリカや韓国を凌駕するレベルのインフラ整備およびサービスが提供されているといわれています。

2019年11月の時点で利用が可能な都市は北京、上海などを含む50都市で、すでに8万6000もの基地局が配置されているといいます。さらに年末までに基地局の数を13万まで増やし、5Gを340以上の都市に展開する予定です。中国国内ではすでに1000万以上の人々が5Gの事前登録をしており、利用者の数は今後急激に増えるとみられています。

 

この急ピッチな政策を主に進めているのが、デバイス製造などを手がける中国のハイテク企業「Huawei」です。基地局の設置を急速に進めることで5Gのインフラ整備を整えるとともに、5Gの利用が可能な新作スマホを矢継ぎ早に投入し、中国国内における5Gの利用を急速に拡大させています。

Huaweiは5G対応のスマホを次々にリリース(リソース

 

実は中国では、このインフラ整備の他にも、最先端のテクノロジーを駆使した5Gの活用がすでに行われており、1000マイル以上離れた場所でのロボットによる遠隔操作手術の実験をすでに成功させています。

現在は他国と同様に、5G端末を持つ国民が少ないことから5Gの利用が一般的になっているとはいえませんが、今後急速に発展する可能性があるのが中国です。しかしながら、基地局の中心を担っているHuaweiがアメリカのブラックリストに載っていることから、今後、米中関係が5Gの発展に大きく関係すると考えられます。中国の5Gの今後は、米中関係が握っているといっても過言ではないでしょう。

 

終わりに

本記事では、世界の中でも5Gで世界をけん引するアメリカ、韓国、中国の「5G事情」についてみてきました。5Gは、2020年代のテクノロジー業界の中心的話題となると考えられており、今後ますます国際間の競争が高まっていくことでしょう。ぜひ日本の5Gとともに、世界の5G事情にも注目したいところです。

 

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※本原稿は2019年に作成・配信したものに一部加筆修正して掲載しております。

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