COLUMN海外メディア戦略コラム
世界でバズった動画【2019上半期】
現在、世界で最も再生されている動画をご存知ですか?それは、プエルトリコの歌手「ルイス・フォンシ」が2017年1月にリリースしたラテン系の曲「Despacito」のミュージックビデオだといわれています。その再生回数は、配信からわずか2年半で64億回を超え、世界で誰もが知っている有名な曲になりました。また、このミュージックビデオの影響は音楽業界だけに留まらず、旅行業界にも大きな影響を与えました。このミュージックビデオがきっかけで、多くの人々がプエルトリコに興味を持ち、プエルトリコ国内ではロケ地をめぐるツアーが数多く組まれ、観光ビジネスが活況を呈したようです。
これは一例ですが、動画によるPRは、ときにものすごい効果をもたらします。2020年には次世代通信5Gが本格導入され、動画PRはますます注目を集めることでしょう。そこで本記事では、2019年の上半期に世界でバズった動画をご紹介します。
異文化を紹介した動画がバズった例
2019年6月4日に配信されたのち、世界で注目を集め、瞬く間に1億3000万回を超える再生数を獲得したのがこちらの動画。ジャングルに住む1人の少年が、巨大なナマズを素手で獲得する様子の一部始終が録画されたものです。
動画には、魚が住んでいそうな水たまりを見つけ、素足で魚の有無を確認し、両手を使い魚を追い詰め、素手で魚を捕獲しようとする、なんともたくましい少年の姿が映し出されています。動画の後半では、少年は泥だまりに巨大ナマズを発見し、臆することなく掴みかかり、見事ゲットします。少年は淡々と作業を進めていることから、少年にとっては日常の一風景に過ぎないのでしょう。しかし、都市化が進む現代社会の中にあって、少年の生きるための知恵とたくましさは多くの人々の共感を生み、世界中の人々に視聴されました。
加工が一切されていない動画であっても、人々の心を掴めばバズることもあることを示す、貴重な動画の1つです。
動画を戦略的にバズらせPRに成功した例
世界最速1億再生回数を達成した韓国の人気アイドルグループ「BTS」のミュージックビデオ
2019年の上半期に、ある動画が世界最速1億再生回数(Youtube)の記録を更新しました。韓国のトップアイドルグループ「BTS」がリリースした最新アルバム『MAP OF THE SOUL:PERSONA」のリード曲「Boy With Luv」のミュージックビデオです。1億再生回数達成までの時間は、わずか37時間37分。おおよそ1日半で、1億再生回数を達成しました。韓国のアイドル業界では、Youtube動画によるミュージック動画の配信に力を入れており、ファンはその配信を心待ちにしています。当動画においては、動画が配信された瞬間から、ファンを中心に各種SNSで世界中に拡散され、再生回数が急上昇しました。また、肝心のアルバムは、アメリカ、イギリス、日本を始めとした様々な国でオリコンランキング第一位を獲得しました。今後は、韓国アイドル業界のように、YouTubeを積極的に活用したPR戦略が増えてくるだろうと予想できます。
生活に活かせる知恵が共感を呼びバズった動画の例
Facebookで、3億6000万回という異例の動画再生回数を獲得した動画があります。それが、剥きづらい食品を、誰もが持っている道具を使って簡単に剥く方法13選を紹介した、こちらの動画です。2019年の6月7日に動画が公開された後、あまりにも見事な皮むきに、多くの人々が動画にコメントを残し、さらにはFacebookを中心としたSNSで拡散され、シェア数は驚異の530万回。一躍世界の有名動画となりました。動画を掲載したのは「Blossom」という生活に役立つ様々な情報を提供するデジタルメディアで、これまでにも多くのライフハック動画を投稿することで有名なメディアでしたが、こちらの動画がバズったことで、多くの人々が「Blossom」に関心を持ち知名度が大きく向上したとともに、ウェブサイトに多くの人々を誘導することに成功しました。動画を効果的に利用して、自社ブランドのPRに成功した例といえるでしょう。
日本の伝統芸が世界でバズる!?
世界が今注目しているものの1つに、日本の伝統工芸が挙げられます。伝統工芸を目当てに訪日し、その技術の体験を楽しみにしている外国人観光客も多いと聞きます。そんな中、陶芸家の阿部春弥さんがInstagramに投稿した動画が世界でバズりました。2019年6月14日に投稿された、焼き物を造形する過程を収めた動画は、世界の人々にシェアされ、現在4,000万回を超える勢いで再生回数を伸ばしています。驚くことに、残されているコメントは英語や中国語、スペイン語など、ほとんどが外国語によるもの。プロの職人の手によって作成される見事な造形物に、多くの外国人が感動したようです。このような形で自社製品をPRする方法も今後人気がでてくるのではないかと予想できます。日本のインバウンドマーケティングにも大きく貢献した動画の1つといってもよいでしょう。
日本人のために公開した動画が、なぜかベトナムで大ブーム!
スパイダーマンの衣装を利用したおもしろ動画が再生回数1億回超え!
2014年に日本人が公開した動画が、世界で突如バズり、2018年と2019年に動画再生回数が急上昇。この動画は、スパイダーマンに扮した日本人が本物(?)のスパイダーマンと言葉を使わずにやり取りをする動画ですが、元々は、日本人が日本人のために作成した動画です。そのため、字幕もすべて日本語です。しかし、なぜかこの動画がベトナムやインドをはじめとした国々でバズり、2019年に動画再生回数が1億回を超えました。動画を公開したのは、世界の注目ニュースやおもしろニュースをいち早く紹介することで有名な「ロケットニュース24(Sora News 24)」ですが、ロケットニュース24はこの動画について、「なぜこれほどブームになっているのかわからない」と自らアップした動画にコメントしています(参照:SoraNews24’s ultra-cheesy Spider-Man fan film has over 100 million views, and we have no idea why)。謎に包まれた動画ですが、日本の視聴割合はわずか4%にとどまっているのに対し、ベトナムが約15%、インドは約9%を占めています。人々の笑いのツボを押さえれば、世界で再生数1億回超えも夢ではないことを証明した、非常に変わった背景を持つ動画です。
日本の職人芸が話題を呼び大ブームに
日本の人気YouTuber「水溜りボンド」が公開した1つの動画が、世界でバズりました。この動画は、巨大中華鍋とチャーハンの食品サンプルを活用したドッキリ企画だったのですが、このチャーハンの見た目が、葛飾北斎が描いた富嶽三十六景の波の様子と瓜二つ、という口コミが広がり世界で大ブームに。海外の人々は前後のドッキリのやり取りには興味がなく、チャーハンの見た目のみに関心を寄せ、大量のシェアが行われ、知らぬ間に世界でバズっていたという珍しい動画です。世界の人々の関心を勝ち取ることは簡単ではありませんが、日本の職人芸や歴史文化に興味を持つ外国人は非常に多いため、そういった層をターゲットにすれば、意図的に世界で動画をバズらせることも可能かもしれません。
終わりに
本記事では、2019年上半期に、世界でバズった動画を、日本人にも身近な動画を中心に紹介してきました。今後、動画が様々な活動のPRの中心になることが予想されます。本サイトでは今後、各国や各地域でバズった動画についても積極的に紹介していく予定です。
※本コンテンツの情報は2019年作成時のものです。