COLUMN海外メディア戦略コラム
広報担当も知っておきたい 海外の最新ソーシャルメディアマーケティングトレンド
ソーシャルメディアマーケティングは今や専門知識ではなく、広報・マーケティング業界で働く人間であれば誰でも理解しておくべき必須スキルとなりつつあります。
SNSプラットフォームにおけるマーケティング戦略を理解することで、他媒体での戦略立案のヒントにもなり、消費者動向の指標ともなります。
SNSプラットフォームにおけるマーケティング戦略は日々進化しており、常に新しい情報やトレンドをつかみ、自社やクライアントの商品・サービスを世に広めていく突破口を見出さなければいけません。
そこで今回はSNSマーケティングの最先端をいくアメリカで現在注目されているマーケティング戦略をご紹介しましょう。
ユーザーとの相互コミュニケーションを第一に
多くのマーケターは「SNSでは消費者と相互コミュニケーションが取れる」と理解しているにも関わらず、そこから起こりうる炎上トラブルや時間コストを理由に、ユーザーからのリプライに返信しないでいます。またユーザーに返信していたとしても、フォロワー数が増えるにつれて徐々にやらなくなったり、ネガティブなコメントを一切無視するといったスタンスを取っています。
コレではSNSが持っているマーケティング力の半分も活かせていないだけでなく、そこにかけているコストをドブに捨てているようなものです。
ユーザー心理を考えれば、企業のオフィシャルアカウントから返答をもらえるというのは承認欲求を満たすだけでなく、他ユーザーにも自分のコメントが晒されるため、自ずと辛辣なコメントを控えて建設的な意見を送ってくれるようになります。
また最近アメリカでは商品を使用したユーザーから感謝のメッセージが届くことが多くなってきています。例えばダイエットアプリなどを使って目標を達成したとき、その企業のアカウントへ感謝のメッセージが届くことがあります。
ユーザーは、こうすることで公式アカウントから返事をもらい、同じ商品を使っている他ユーザーたちから質問を受け付けたりその他のダイエット情報を発信することでインフルエンサーになろうとしているので、公式アカウントもそれを利用して個人ユーザーを積極的にインフルエンサーに仕立て上げるようにすればブランド力も高まります。
チャットボットの飛躍
AIを活用したマーケティング戦略としてチャットボットを導入する企業が日本でも近年増えてきていますが、本場アメリカはその比ではなく、現在Facebook Messengerを活用したチャットボットが10万以上あると言われています。
チャットボットの利点としてまず挙げられるのが圧倒的な人材コストの削減です。
チャットボットを活用した企業はユーザーとのエンゲージメント効率が3.5倍になったとの報告もあります。
また同じことを伝えていても、チャットボットを介することでブランド力の向上にも繋がると言われています。これまでであればウェブサイトに「よくある質問」というページを設けて対応していたものも、自分がした質問に対してしっかりとした返答がくることで、ブランドの信頼度を高めるとともに、消費者たちのデータも同時に取得できます。
さらに、チャットボットを活用することでユーザーとの相互コミュニケーションも増え、Evernote社はツイッター用のチャットボットを導入して以来、ダイレクトメッセージ数が80%も伸びたそうです。
今後チャットボットはただの目新しいAI技術としてではなく、ユーザーの心を掴む上で重要なマーケティング手法のひとつとしてさらに注目されていくでしょう。
ソーシャルリスニングツールの台頭
こうしてSNSを通じたコメントやリプライなどのコミュニケーションが増えてくると、それらを次の企業判断に活かす手段が必要になってきます。そこで現在アメリカで注目されているのがソーシャルリスニングツールです。
ソーシャルリスニングとは、SNS上での投稿ややりとりをAIが自動的に解読・解析し、次のアクションへ繋げるためのデータを排出するという考えです。
例えば「コーヒー」に関する話題がSNS上でどれくらい挙がっているかを調べるのはもちろんのこと、それに付随してよく出てくる単語やURL、ハッシュタグなどもまとめてくれるツールが現在英語圏を中心に活用されています。いわばGoogleトレンドのSNS版にAnalyticsの機能も付随したツールといったところでしょう。
これを利用すれば、各キーワードや話題を取り巻くSNS上でのトレンドや論調、不満などを垣間見ることができ、それを今後の商品開発やPR戦略にも活かすことができます。
Instagramストーリーの活用
Snapchatに対抗するようにInstagramがストーリー機能を追加したのはまだ記憶に新しいですが、すでにデイリーユーザーはSnapchatのそれを凌駕しており、今後はInstagramにすべてのユーザーが移行していくことが予想されます。
数字だけで見ても、ストーリー機能を追加して以来Instagramの1日平均利用時間が28分とほぼ倍増し、ストーリー投稿の20%がダイレクトメッセージへと繋が流という結果が出ています。
これを利用しない手はありません。Instagramにストーリーを積極的に投稿するだけでなく、広告にも積極的に投資をし、ユーザーが長時間過ごすプラットフォームに力を注ぐことが成功のカギとなってくるでしょう。
続くARブーム
昨年はInstagramやSnapchatにおいて顔認証の犬・猫耳フィルターが流行しましたが、こうしたサービスはさらに飛躍を見せると予想されます。特にブランドオリジナルのフィルターは今後大きな飛躍を見せるでしょう。
例えばダイエットアプリであればその商品を8週間つかったあとの顔をARで再現したり、コスメであれば特定の商品をつかったメイクアップ後の顔をARで再現するなど、その活用ほうは無限大です。これらの機能をPRキャンペーンなどと関連づければ、かなりの反響が見込めます。
ここで紹介したものはどれもソーシャルに限らず、PRや他媒体でのマーケティングでも十分に活用でき、今後さらに注目が集まる技術や戦略ばかりです。ぜひ今のうちにこれらの戦略を取り入れ、時代に乗り遅れないようにしましょう。