COLUMN 海外メディア戦略コラム

現地語を使った海外マーケティング戦略のすすめ

海外にビジネス展開するというのはワクワクすることではありますが、同時に絶え間のない努力も必要とします。新しいマーケットに参入するメリットは新たな顧客を獲得できること、そして新たな従業員やパートナーと出会うことであり、慣れ親しんだ日本のオペレーションやマーケティング戦略に盲目的に従わないように気をつけましょう。もちろん会社のバリュー(価値)や事業運営の目的を維持するのは当然ですが、新しいマーケットに適した新たな戦略を身につけなくてはなりません。

ここでは、海外にビジネス展開をするために新たにマーケティング戦略を練るためのコツを、いくつかご紹介していきましょう。

01. マーケットをテストすべし

新しいマーケットにうまく入り込むためには、なによりも身軽かつフレキシブルでなければなりません。プールに飛び込む前につま先を入れて水温や水深を慎重に確認するように、マーケットの動きを常に把握できているという状況が第一。つまり、ゆっくりとマーケットに馴染んでいくように進めながら、常にコントロールを保った状態で一気に拡大できるタイミングを見定めるのです。こうすることでリスクを軽減できるだけでなく、無駄な時間や費用もセーブできます。

つまり、新たなマーケットにいきなり飛び込むのではなく、事前にいろいろとテストしてみるということ。ビジネス・モデルが適用可能かを調査してみたり、いろいろなメッセージング手法をトライしてみたり、あるいはプロダクトやサービスを投入してテストしたりなど、フレキシブルに立ち回りましょう。想定しているビジネスがマーケットにぴったりとフィットするまでテストを繰り返すこと、つまりハンズオン・リサーチ(市場密着型調査)を行う機会を設けることで、新たな顧客にパーフェクトな提案ができるようになります。

もしも狙っているマーケットでは結果を出せないと判断したとしても、身軽でいることによって大きな損失を出さずに離脱できる可能性も高まります。新しいマーケットにいきなり本格的なオペレーションを導入するとなるとどうしても莫大な初期投資が必要となり、最悪のケースではそのほとんどを失うことさえあるのです。

 

02. 顧客を理解すべし

国際的な戦略を立てるうえでもっとも重要なポイントのひとつは、顧客を理解するということでしょう。新たなマーケットに進出するというのは、つまりは新たな顧客を獲得すること。彼らが日本の顧客と同じ振る舞いをすると仮定するのは、大きな間違いのもとです。

海外の顧客は日本とは異なる文化を生きています。つまり彼らの購買行動は日本人のものとは大きく異なります。例えば、アメリカを拠点とする世界最大のスーパーマーケット・チェーンであるウォルマートが中国に進出した際、”ビッグ・ボックス・ストア(メガストア)型”と呼ばれる米国での通常アプローチ戦略をそのまま適用するという失態を犯しました。そもそも中国に暮らす人々は近所の青空市場で食料品を購入することが習慣となっており、メガストア戦略には馴染みがありません。結果としてウォルマートはその努力もむなしく、中国マーケットにおいてはローカルの競合他社に先んじることができませんでした。

新しい顧客についてじっくりと知る時間を設けることはとても重要です。そのため、海外展開を計画する企業の多くはオペレーションを実行に移す前に現地を実際に訪問し、顧客の行動をつぶさに視察します。あるいは、新しいマーケットについてより深く知るために、現地のマーケティング・リサーチ会社に調査を依頼することもあるでしょう。もし予算が厳しいのでしたら、名前の知れたマーケティング・リサーチ会社(アメリカでしたらニールセンなど)の発行している顧客レポートを購入するという手もあります。

 

03. 現地語を使用すべし

顧客について知ることに加えて、現地語でコミュニケーションを行うことはさらに大切。というのも、マーケティング目的のコミュニケーションは往々にしてとても複雑かつ繊細になりがちだからです。マーケットに投下するコミュニケーションのあらゆる局面において、現地の言葉や文化を取り入れることが必要です。

自社がグローバルなブランドとして認知されてきているという自覚があるにせよ、あらゆるメッセージングはそれぞれのローカル・ルールにフォーカスすべきです。このメッセージングには広告やパッケージ、オンラインあるいは口頭でのコミュニケーション(セールスやカスタマー・サービスなど)が含まれます。国際的なマーケティング戦略において考慮されるべきは狙っている新たなマーケットの現地語だけにとどまらず、日常生活における言い回しなどの表現、文化的に受け入れられているコミュニケーション手法などについてより深く理解することが求められています。

ここで具体的な例をご紹介しましょう。アメリカ発のポテトチップス大手であるレイズ(Lay’s)。日本でもファンの多いブランドですが、オーストラリアでは現地の消費者に馴染みのあるスミス(Smith’s)というブランド名で発売されています。また、イギリスではウォーカーズ(Walkers)、エジプトではチプシー(Chipsy)などマーケットに応じて名前を変えており、ブランドの統一性を図る目的でロゴは統一していますが、メッセージングにおいては現地の文化や言語によって戦略を変えています。

 

海外展開をふまえた国際的なマーケティング戦略を立ち上げるのは、そもそもとても手間のかかる作業です。しかしここにご紹介した3つのポイントを実践することで、もっともフォーカスすべき対象である「顧客」についての理解を深めることになり、ひいてはより好ましいビジネス展開を進めていく自信にもつながっていくでしょう。

 

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