COLUMN海外メディア戦略コラム
もはや広報だけじゃない!世界の最先端にいるPR担当者の仕事とは?
バイラル動画やインフルエンサーといった新しい手法が次々と登場する昨今、世界のPR担当者は従来の広報としての仕事以外にも様々なスキルが求められています。
今回はそんな世界の最先端で活躍するPR担当者たちに求められる仕事の一部をご紹介しましょう。
データ分析力とストーリー力
世界ではデータサイエンティストを採用するPR会社も増えていますが、最近ではPR担当者にもそのスキルが求められるようになってきました。データサイエンティストの主な仕事はデータの解析にありますが、PR担当者にはいかに有意義なデータを収集し、ストーリーを語るかという能力が求められます。
アンケートの質問を考えるなどのスキルはこれまでもPR担当者に求められてきましたが、現在世界ではそのデータを用いていかにストーリーを組み立て、企業が伝えたいメッセージを代弁するかという理系と文系両方のスキルが必要とされています。
これにはまずデータが何を意味するかという統計学的なスキル、またそれを用いていかに企業メッセージへと繋げるかというストーリー展開を考える想像力が重要です。
専門性
SNSの台頭によりあらゆる市場が細分化されているこの時代、すべての業界を網羅できる万能なPR担当者を育てるよりも、ある特定の分野の情報流通やインフルエンサー、市場動向を熟知している人材を好む企業が増えてきています。
日本でもテレビの人気衰退から「国民的番組」「国民的行事」が生まれてこないのと同様に、”浅く広く”ではなく”狭く深く”が現在のPR業界の定説です。例えばニコニコ超会議のように、巨大イベントであるにも関わらずあくまでニッチ産業にフォーカスしたイベントやPR施策を狙うのが今後のPRの主流になってくるでしょう。
こうした変化の一因はメディアの多様化にあります。これまではテレビ局や全国紙を相手にすることが多かったPR担当者たちですが、次々と乱立する新規メディアや人気ユーチューバーたちすべてと繋がりを持つことは不可能と言っていいでしょう。それよりもある特定の業界、例えば世界中を巻き込んだ巨大産業になっているゲーム業界に詳しいPR担当者は、世界のどのPR会社もノドから手が出るほど欲しい人材でしょう。
前述のタレント性とも繋がってきますが、こうした業界特化PR担当者はそのままオピニオンリーダーになることも多く、いわばハドソン社員だった高橋名人が全国的に人気になったように、優れた知識と技術で自らが専門家として活躍するケースもあります。
タレント性
PR担当者にとって人間力が大切なことは昔から言われてきましたが、近年ではさらに自らがクライアント企業の広告塔となれるようなタレント性が重要になってきていると言われています。インフルエンサーマーケティングに象徴されるように、現在の情報流通は個の力に既存する傾向が強くなってきているため、PR担当者もただインフルエンサーに商品紹介の依頼をするだけでなく、自らのネームバリューをあげて商品や企業の信頼を勝ち取ることが求められます。
これを物語るように、世界のPR企業は近年、新卒採用時に応募者のSNSのフォロワー数をチェックしているそうです。友人が多く対人スキルが高いだけでなく、SNSを活用して知らない人にも情報を拡散できるタレント性・カリスマ性を持つことが今後のPR担当者の必須条件になってきそうです。
ビデオ制作・編集スキル
Youtubeの台頭により、ビデオコンテンツはもはやPRに必要不可欠な要素となりました。
例えばアメリカでは近年、プレスリリースにビデオを添付するのが当たり前になりつつあります。それに伴い、プレスリリースを書ける人材よりもビデオ編集ができる人材の需要が増しています。
またビデオを使う場面はそれ以外にもあり、例えば専門家やインフルエンサー、ひいては投資家へのメールにも自己紹介を兼ねた営業ビデオを添付するPR担当者が増えてきています。従来の文章だけのメールに比べてビデオのほうが理解しやすく、またそのひと手間を加えるだけで開封率や返答率が飛躍的にあがるとされています。
さらに活動の進捗報告にもビデオは用いられ、特に直接クライアントと会わない場合は文章やパワーポイントのみの報告よりもビデオで報告をしたほうが相手に安心感を与え、クライアントの信頼を勝ちとれます。
ネットメディアの台頭をみて、「今後はテレビや雑誌ではなく、ネットメディアを狙っていこう」と囁いていたPR担当者は多くいただろうと容易に予想がつきますが、世界ではPR担当者の仕事、ひいては担当者自身が大きく変わりはじめています。
業界の変化にただ流されるのではなく、自らがその先頭に立って動かしていくという気概を持つ人材だけが今後世界のPR業界で生き残れるのかもしれません。