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いよいよノーベル賞授与式! 受賞する人ってどんな人?
2021年のノーベル賞の授与式が近づいてきました。ノーベル賞の授与式は、ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベル氏の命日である12月10日に行われます。授賞式をより楽しむためにも、ノーベル賞について今のうちに理解を深めておくのがよいでしょう。本記事では、ノーベル賞ができた経緯や国別の受賞者数、受賞者の特徴などについて紹介します。
ノーベル賞とはそもそも何?
ノーベル賞とは、ダイナマイトを発明したことで有名なアルフレッド・ノーベル氏の遺言に基づき、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の分野で「人類に最大の貢献をもたらした人々」を表彰するものです。これに新たに経済学が加わり、計6つの分野でノーベル賞受賞者が選ばれます。
2021年は120回目のノーベル賞となり、ノーベル賞受賞者はすでに決定しています。2021年を賑わせたノーベル賞受賞者といえば、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎上席研究員を思い浮かべる人も多いことでしょう。
真鍋氏の功績は「地球温暖化の予測のための気候変動モデルの開発」です。二酸化炭素の増加に伴い地球の気温や環境がどのように変化するのかを早い時期から提案したモデルで、地球環境保護の点において大きな功績を残しました。現在地球温暖化は世界的な大問題となっていることからも、この研究の重要性は理解できるのではないでしょうか?
真鍋氏に関してはメディア対応にも注目したいところ。ノーベル賞を受賞した際のインタビューでは「日本に戻りたくない理由の一つは、周囲に同調して生きる能力がないからです」と発言し、メディアやSNSで大きな話題となりました。今回の授賞式では再び気になる発言が飛び出すのかどうかにも注目が集まります。
ノーベル賞の国別受賞者数は?日本は何位?
ノーベル賞は国籍を問わず決定されるため、世界のすべての人に受賞のチャンスがあります。とはいえ、ノーベル賞を多く輩出する国とそうではない国があります。ノーベル賞を多く輩出している国はどこなのでしょうか?そして気になる日本の順位は?
2020年までのノーベル賞受賞者数は以下の通りです。
表 ノーベル賞受賞者の出身国別順位と人数
順位 | 国名 | 人数 |
1位 | アメリカ合衆国 | 388人 |
2位 | イギリス | 133人 |
3位 | ドイツ | 109人 |
4位 | フランス | 70人 |
5位 | スウェーデン | 32人 |
6位 | ロシア | 31人 |
7位 | 日本 | 28人 |
8位 | スイス | 27人 |
8位 | カナダ | 27人 |
10位 | オーストリア | 22人 |
トップはやはりアメリカです。また、ヨーロッパ出身者が非常に多くノーベル賞を受賞していること、アジアの国の受賞は比較的少ないことなどがわかると思います。2021年の授賞式では、受賞者の出身国にも焦点を当ててみると面白いかもしれませんね。
ノーベル賞を受賞するのはどんな人?
では、ノーベル賞を受賞するのはどのような人々なのでしょうか?多いのはやはり、大学教授や国立の研究所で研究をする人々です。真鍋氏も米プリンストン大学の研究員ですし、今年受賞が期待された候補者の多くも大学職もしくは国の研究機関等で働く人々です。
しかしながら、これらとは別に、企業研究者としてノーベル賞を獲得する人もいます。例えば、2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、旭化成の企業研究者でした。
吉野氏の功績は、今では生活に欠かせない存在となっている「リチウムイオン電池」を開発したことです。現在ではスマートフォンや電気自動車、家庭用蓄電システムに利用されるなど、活躍の幅は拡大しています。
吉野氏の他に注目を集めた企業研究家は、島津製作所の田中耕一氏です。「生体高分子の質量分析法のための穏和な脱着イオン化法」を開発したことにより2002年にノーベル化学賞を受賞しました。これまで不可能とされていた、タンパク質を壊さないでイオン化することに初めて成功した業績を評価されたことによります。この技術によりこれまでは難しかったタンパク質の質量分析が可能になり、現在では病気の診断や薬の開発に活用されています。
企業が抱える研究者は、企業の采配によって予算が分配できることに加え、国立機関と比べると自由な雰囲気もあり、創造的な研究を行うのに適しているとも考えられています。今後、どのようなポジションで働く人々がノーベル賞を受賞するのか、という視点でノーベル賞の今後を追うのも面白いかも知れませんね。
おわりに
本記事では、授賞式が近づくノーベル賞について詳しく紹介すると共に、国別の受賞者数やノーベル賞受賞者の職業などを紹介しました。日本はアジアの国では数少ないノーベル賞の豊富な受賞歴がある国です。今後、日本からノーベル賞がでるかどうかにも継続して注目したいところです。
ノーベル賞授賞式は、自分なりに視点を決めて視聴するとより楽しめると思います。今年の12月10日は、世界の未来に大きな影響を与えるノーベル賞授賞式に注目してみてはいかがでしょうか?