COLUMN海外メディア戦略コラム

メディアインテリジェンスとは?アメリカのPR最新情報

現在さまざまな業界で革命を起こしている人工知能(AI)。

PR・マーケティング業界でも、SNSなどのビッグデータを解析して次に打つべき手を自動的に算出してくれるシステムや、あたかも人間のように消費者と会話をしてくれるチャットボットなど、これまででは考えられなかったようなサービスが次々と登場しています。

そんななか、現在PR・マーケティング業界に新たな革命を起こすのではないかとアメリカでささやかれているのが、「メディアインテリジェンス」です。

メディアインテリジェンスとは?

今「AI」と聞いて最初に思いつくのは、消費者が直接使うことができるPepperやSiri(Apple社)などでしょう。これらのAIは人間が発する言葉を認識したり、一人一人の顔を認識・識別する機能で、これ以外にも特定の人物をずっと追跡する人物追跡、瞬時に画面内にいる人々の人数を数える人数カウント、また個人の声の特徴を学習して再現する音声合成技術などがあります。

メディアインテリジェンスとは、これらのAI技術を駆使してこれまではデータ化できなかった情報をビッグデータとして大量に取得し、企業の意思決定やサービス向上に繋げるという考え方です。

しかし、これだけ聞いていると「それでは従来のビッグデータとどう違うんだ?」と思う方もいるでしょう。もちろん、基本的な考え方はビッグデータとあまり変わりません。ただ、AIを駆使したメディアインテリジェンスには二つの大きな特徴があります。

定性的データも自動的に取得する

10年ほど前から”ビッグデータ”という言葉がほうぼうで聞かれるようになり、多くの企業が有益なデータを大量に取得するためにさまざまな施策を講じてきました。
しかし、そのほとんどが判別・識別のしやすい定量的データで、これだけでは消費者の生の声や意思、世の中の流れを理解することができません。

商品の評価サイトを例として考えてみましょう。

これまでビッグデータとして大量に取得できたのは次の4つです。
・ユーザーがつけた点数
・投稿日時
・ユーザーの地域
・「この評価は参考になったか」など、ユーザー同士の評価

一方で、ユーザーのコメントなどの定性的データは限られたリソース(人員・時間)のなかで確認するしかなく、これではビッグデータのように大量のデータを処理できないうえ、複数人で作業を分担した場合、文章の解釈にズレが生じて一貫性のあるデータとは言えません。

この問題を解決するのがメディアインテリジェンスです。

AIを駆使してユーザーのコメントを言語データとして大量に処理すれば、何万といるユーザーの定性的データをまとめ、商品・サービスの改善に関わる意思決定に役立てることができます。

つまり、メディアインテリジェンスとはこれまでデータ化できなかった言語、音声、画像などのメディア情報をAIで自動的にビッグデータ化するシステムだということです。

外部メディアやユーザーが制作したコンテンツもビッグデータ化できる

またメディアインテリジェンスを使えば、自社で管理しているウェブサイトやアカウントのみならず、一般ユーザーたちが投稿したブログなどの文章やYoutubeビデオなどもビッグデータとしてまとめることができます。

例えば現在流行している髪型をメディアインテリジェンスを使ってデータ化するとしましょう。
まずは画像認識システムを使って、写真に写る人物の髪型を識別できるようにします。そしてそのシステムを使って、例えばInstagramに投稿されている何万枚もの画像を処理していけば、どれくらいの人が同じ髪型をしていて、また位置情報やプロフィール欄などからその属性までもデータ化してくれます。

こうして自社が所有していないメディアからもデータを取得できるというのは、ビッグデータ業界にとって革命的とも言えます。

従来のビッグデータは定量的な情報であくまで内部的なデータであったため、運営者が公開していない限り外部からその情報を知る術はありませんでした。そのため、一人暮らしに人気の地域を知りたい不動産業者の場合、自社メディアを立ち上げてデータを取得するか、他社が発表しているデータに頼らざるを得ませんでした。

しかし、文章や画像、音声などの一般消費者向けに公開されている情報はいくらでも外部から取得できるため、メディアインテリジェンスを使って大量のデータを労せず手に入れることができます。

メディアインテリジェンスの登場は、新しいKPIを意味する

PR・マーケティング業界にとって、メディアインテリジェンスの登場はさまざまな意味を持ちます。例えばメディアインテリジェンスを用いた新しい市場分析からこれまでになかったサービス展開を考えることもできますし、メディアインテリジェンスで取得したデータをプレスリリースに含めて情報の深みを増すこともできます。

ただ、これは同時にネット媒体において新しいKPIが出てくるということでもあります。
すでに我々にとっては当たり前となりつつあるウェブサイトのPV・UUや、プレスリリースの開封率なども、ほんの15年前までは取得することすらできなかったデータでした。

今後メディアインテリジェンスが普及していけば、クライアント側も新しい情報を要求し、それに伴った新しいKPIも設定されてくるでしょう。その波にいち早く乗るためにも、今のうちにメディアインテリジェンスについての理解を深め、次の時代に備えることが必要でしょう。すでにそれが始まっていると言っても過言ではありません。

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