COLUMN 海外メディア戦略コラム

マーケティングにおけるKOLの役割とは?

KOL(キー・オピニオン・リーダー)とはある特定の業界や分野における知識が高く評価されており、多くのひとに影響力を持っているエキスパートのこと。専門的で豊富な知識を持っていることによって社会において信頼されている個人のことを指しています。

マーケティングにおける「キー・オピニオン・リーダー(Key Opinion Leader)」は歴史のある用語のひとつ。歯磨きペーストなどを販売するヘルスケア業界におけるマーケティング戦略では昔から人気があり、医者や歯科医などは製薬会社のブランドの代弁者として重要な役回りを依頼されています。歯科医が「良い」と言えば、わたしたちは「良いものだ」と思いますよね?

ではインフルエンサーはKOLでしょうか?これら2つの用語は同じようなものとしてしばしば使われていますが、正確には同じものではありません。これらの違いをきちんと理解することで、ブランドのプロモーションやキャンペーンにおいてインフルエンサーとKOLのどちらがふさわしいかを適切に判断することができるようになります。

KOLとインフルエンサーの違い

インフルエンサーとKOLは、どちらも製品やサービスに対して消費者が抱く見解に影響を与える個人です。

インフルエンサーはInstagramやFacebook、Twitter、そしてYouTubeなどのソーシャル・メディア・プラットフォームを利用しているユーザーに対して強い影響力を持っています。一方のKOLもソーシャル・メディアでのプレゼンスは持っていますが、彼らがメインで活躍する場はこれらのプラットフォームではありません。

インフルエンサーの信ぴょう性はオンラインの世界におけるペルソナ(外的人格)やコンテンツ、これまで獲得した信頼性などによって確立されていくもの。一方、KOLの信ぴょう性はもっと直接的なところに由来しており、業界におけるこれまでの実績やプロフェッショナルとしての資格やスキル、あるいは専門家として携わってきた時間の長さなどです。

対照的なのは、フォロワーがインフルエンサーに寄せる信頼はインフルエンサーと自分を重ねる「同一化」や個人の「趣向」をベースとしているところ。

具体的にご説明しましょう。Instagramで活躍している @dariadaria@anajohnson という2人のインフルエンサーのうちどちらを選ぶかとなった場合、ガーリーなピンク色を好む後者の傾向が単純に自分のテイストに合わないという理由でむしろ前者をフォローする、ということです。

一方、KOLのおすすめに従うということは、彼らと自分を同一化したいということではなく、彼らの持つ知識を評価しているからです。

 

KOLあるいはインフルエンサー どちらがおすすめ?

インフルエンサーとKOLは異なるユーザーにアピールしているため、どちらと仕事をしようかを決める場合はまずターゲットとするユーザー層を見極めることが大切。

まず、インフルエンサーは平均的な消費者にアピールする傾向があります。

KOLと比較して、インフルエンサーは時として不特定のフォロワーを集める傾向があります。すべてのフォロワーを結びつけるのはインフルエンサーの態度やパーソナリティ、あるいはライフスタイルについての共通した興味。インフルエンサーをフォローするのは、彼らのコンテンツがユーザーの興味やテイスト、物事に対するスタンスとマッチするからです。

この類似性のため、フォロワーはインフルエンサーと自らをより同一化する傾向がありますが、必ずしもインフルエンサーの属している層とマッチするわけではありません。

それとは逆に、KOLは特定の層に影響力を持ちます。

彼らのフォロワーはある特定の分野でKOLの持っている専門的技術や経験値に基づいてその見解を高く評価。フォロワーは彼らの知識やアドバイスを求め、その分野についての自らの理解をさらに深め、知識を増やしていきます。インフルエンサーと異なり、全てのフォロワーがKOLの個人的なファンというわけではなく、なによりも彼らの専門的知識を尊重しています。

もしある特定の層あるいは特定のトピックについて興味を持っているユーザーをターゲットとしたいのでしたら、特定の層に語りかけることのできるKOLを見つけるのがいいでしょう。新たなユーザーにリーチし、ブランドのリーチを拡大するためにはもっとも効果的です。

しかし注意したいのは、いくら大きな影響力を持っているとしても専門外のKOLに依頼をするのはお金の無駄だということ。KOLの相場はある特定のエリアに限定したリーチの広さに従って算出されますが、そもそも専門外では意味がありません。

 

インフルエンサーに影響を与えるKOL

KOLとインフルエンサーの違いについて、具体的な例をあげてご説明しましょう。

① キアラ・フェッラーニ (CHIARA FERRAGNI)

イタリアのファッション・アイコンとして有名なキアラ・フェッラーニはファッション業界におけるKOL。”The Blonde Salad“というブログからキャリアをスタートし、いまやもっともリスペクトされているファッション・エキスパートのひとりに数えられています。スティーブ・マデン (Steve Madden) やインティミッシミ (Intimissimi) などのブランドとコラボした後、自らのファッション・コレクションを展示するためのスペースをミラノにオープンしました。

キアラはInstagramのフォロワーが1,100万人を超えており、まさにインフルエンサーのプラミッドにおける頂点に君臨。ほかのブランドのプロモーションも積極的に行なっていますが、ストーリー上でディスカウント・コードの配布などは行なっていません。彼女はトレンドを自ら生み出し、インフルエンサーに影響を与えています。

彼女のコンテンツに対してリアクションを行なっているセレブリティのなかには、ジェシカ・アルバ (Jessica Alba) やアレッサンドラ・アンブロージオ (Alessandra Ambrosio)、パリス・ヒルトン (Paris Hilton) などがおり、Diorなどのブランドやファッション・マガジンの公式アカウントも彼女のコンテンツに「いいね (Like) 」をしたりコメントを投稿したりしています。彼女は業界で一目置かれる人々とつながっています。

② レイチェル・マルティーノ (RACHEL MARTINO)

一方、ニューヨーク州に住んでいるアメリカのファッション系インフルエンサーであるレイチェル・マルティーノ(フォロワー数275,000)に対し、フォロワーは異なった関わり方をしています。彼女のフォロワーの9割近くは女性であり、彼女たちはレイチェルに対して個人的な憧れを抱いているのです。

彼女は平均的な消費者に語りかけ、彼女自身が影響を受けているブランドに「いいね」をすることでプロモートを行い、フォロワーへの購入を促します。

キアラのケースとは対照的に、レイチェルは定期的にブランドのプロモーションを行います。過去には、ラルフ・ローレン (Ralph Lauren) やアヴェダ (Aveda) 、ウエラ (Wella) 、ノードストローム (Nordstrom) やマスターカード (Mastercard) などのブランドとタッグを組んでプロモーションを実施しています。

 

まとめ

インフルエンサーはなにかを「愛好」していますが、KOLはそのなにかで「生活」しています。キャンペーンやプロダクトの新発表といったステージにおいてはKOLと仕事をすることが効果的なケースがある一方、それ以降のタイミングではインフルエンサーがよりふさわしいケースもあります。つまり、どちらかが本質的に優れているというわけではないのです。

まずはターゲットとする特定の層を見極めるところからスタートしましょう。平均的な消費者をターゲットにしていますか?売り出したい製品やサービスは説得力のある専門家を信頼している特定の層向けのものですか?これらの問いに対する答えを出すことによって、KOLとインフルエンサーのどちらが適しているかを決めることができるでしょう。

 

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