COLUMN 海外メディア戦略コラム

ブロックチェーンがデジタル・マーケティングにもたらすもの

新たなテクノロジーによってマーケティングに革命が起こると言われる機会が増えていますが、その効果は大きく分けて3つに分けられます:カスタマー・エクスペリエンスの強化ビジネス・パフォーマンスの推進、そして広範囲における深い洞察の獲得、です。

マーケティングの分野にもAIの導入が進んでいる状況のもとで、ブロックチェーン技術によってこの3つの効果にどのような変化がもたらされるのか。ここでは、マーケティングの未来に影響を与えるブロックチェーンが具体的にどういった役割を果たすのかについてご説明します。

  1. 1. ターゲティングと広告配信におけるインテグリティ

エンゲージメントやキャンペーンのパフォーマンスは、届けるべき(特にみずから望んでターゲットになりたいと考えている)ユーザーへの広告配信を最適かつ確実なものにするため、常に測定・検証されます。ブランドはサーバーから配信される広告の身元が確かであることをチェックし、ブロックチェーン上に確認用のタグをつけていくことができます。一方、オプトインに同意したユーザーはボットではなくリアルな人間として特定され、重要なデータをリアルタイムで収集していくことで配信ネットワーク全体のインテグリティを高めます。

現行のデジタル環境では、人間によるものではないトラフィックや偽物のプロファイル、ボットネット(サイバー犯罪者が悪意のあるプログラムを使用して乗っ取ったコンピュータによって構成されるネットワーク)が数多く存在しています。新たにブロックチェーン・プラットフォームが登場することにより、検証が分散化され、ユーザー・プロファイルのインテグリティはより強固なものになります。広告のインスタンスIDやタイムスタンプ、メタデータ、そしてユーザーのデータがどのように利用されているのかを含めて、ユーザーのあらゆるインタラクションはブロックチェーンによって検証されるのです。この可視化の新たなレベルによって、十分な情報を得た上でデータを活用することができるようになり、より相関的で望ましいエクスペリエンスを提供できるチャンスが高まります。

 

  1. 2. カスタマーのデータにおけるセキュリティの向上

マーケターとは本来、カスタマーから提供されるデータによって成長するもの。しかし、ヨーロッパにおけるGDPR(EU一般データ保護規則)の導入に見られるように、グローバルなパラダイムがより厳格なセキュリティ基準の適用へとシフトしていく現状にあって、カスタマーのデータをどのように取り扱うかについては変化が起こっています。ブロックチェーンにおけるオプトインの普及には時間がかかるかもしれませんが、この種のデータ・セキュリティはマーケティングの主要な3つの推進力(カスタマー・エクスペリエンス、ビジネス・パフォーマンス、そしてスケール)に影響を与えるために必要となるでしょう。

ブロックチェーン技術のおかげで、カスタマーのデータ資産をブランド側でマネジメントすることが可能になるだけでなく、カスタマーも自らのデータや身元情報を管理する権限が与えられます。アテンション・トークンやトランザクションの価値交換は当たり前になるでしょう。カスタマーがアテンションを向けたこと、そして行動心理学的に役立つデータを提供してくれたことに対し、ブランドは報酬を支払うようになるのです。

ブロックチェーン技術を通じて既知のユーザーとインタラクトしているより多くのユーザーは、トランザクションを重ねていくことで固有の信用を築き上げていきます。ユーザー側のアテンション、あるいはちょっとした個人情報の提供と引き換えに、より関連性のある広告がリアルタイムで配信されるようになることで、マーケターはさまざまな属性についてあらゆることを知れるようになるでしょう。

 

  1. 3. ブランドの担う責任の増大

マーケティングはこれまで、カスタマーに対して「人生を根本的に変えますよ」という”壮大なアイディア”を売りつけることに徹してきました。しかもそれが二流のプロダクトであったとしても、です。ブロックチェーン技術の導入により、ブランドは自らの約束を果たす役割について、これまでにないほど大きな責任を担わなければならなります。自らのプロダクトには宣伝されているような栄養成分や有機成分が本当に含まれているのか?そのプロダクトは1日数百円で子どもを働かせるようなブラック企業によって作られていないか? コンプライアンスやサステナビリティについてなど、より広範囲にわたる課題がより容易に認証・検証されるようになることで、マーケターは戦略的な「狙い」とは関係なく、そういった正しい事実をよりアピールするようになるでしょう。

ブランドにとって、ブロックチェーン上のデータは”食べログ”などの批評サイトのパワー・ユーザーによるレビューと同じようなもの。それはつまり、少数の不愉快な見解によってブランドの悪評が立つということではなく、むしろユーザーの集団的な見解を通じてより深い洞察を得ることができるということです。ブロックチェーン技術は分散型のネットワークによって信頼性の裏付けを行うため、ブランドが栄養価や有機成分について嘘をついたり、狡猾な労働条件を導入していたり、違法行為を隠蔽しようとしたりすることは、今後より困難となるでしょう。言い換えると、ブロックチェーン上でデータをでっち上げようとすることは、単純に真正で誠実なブランドになることに比べて10倍以上の努力を必要とします。結果として、最善でもっとも信頼に足るブランドだけが生き残ることになるのです。

 

まとめ

マーケティング戦略において重要な役割を果たしているインフルエンサー。ブロックチェーンの導入により、どのインフルエンサーがブランドの基準を”本当に”満たしているのか、企業側は容易に判断することができるようになります。さらに、ソーシャル・メディアの数多くのフォロワーのなかで、ボットと本当の人間とを簡単に仕分けできるようにもなります。

このように、ブロックチェーン技術の助けを借りることで、マーケターたちは世界を大きく変えていくイノベーションの荒波の中で真に優位に立つことができるようになります。データの活用や個人情報保護のマネジメント、ブランドのインテグリティなど、より広い範囲において可視化が可能となることで、ブロックチェーンはデジタル・マーケターたちが戦略を立てる方法や効果的なキャンペーンの実施の方法を様変わりさせていくでしょう。

 

 

コラム一覧に戻る