COLUMN海外メディア戦略コラム
世界の自動運転技術はどうなっている?アメリカや中国、ドイツなどの様子を一挙紹介
2020年代に急速に進むと言われているテクノロジーの1つが自動運転です。運転手なしに移動できる時代が、すぐそこまで来ています。日本は世界に誇る車大国であることから、自動運転技術に関しても世界トップクラスといえますが、日本よりも先を走っている国もあります。
本記事では、自動運転の分野で世界のトップを走る、アメリカ、中国、ドイツなどの状況について紹介します。
自動運転の段階を示す「レベル」とは?
自動運転のレベルとは、自動運転の技術がどのぐらいのレベルに達しているのかを客観的に示す指標です。自動車の自動運転のレベルについては、アメリカの「自動車技術会(SAE)」が打ち出した基準が世界的に採用されています。レベル0から5までの6段階あり、以下のように定義されています。
段階 | 名称 | 主体 | 走行領域 |
0 | 運転自動化なし | 人 | |
1 | 運転支援 | 人 | 限定的 |
2 | 部分運転自動化 | 人 | 限定的 |
3 | 条件付き運転自動化 | 車 | 限定的 |
4 | 高度運転自動化 | 車 | 限定的 |
5 | 完全運転自動化 | 車 | 限定なし |
このレベル分けを受け、国土交通省は日本における自動車運転のレベル分けについて以下のように説明しています。
大きなポイントとして、レベル2からレベル3に変わる際に、主体が「人」から「車」に移ること、レベル4からレベル5に変わる際に、走行領域が「限定的」から「限定なし」に移ることが挙げられます。
主体が人の場合は、人の運転技術を自動運転がサポートするイメージです。例えば、高速道路でドライバーが運転している際に、車間距離に合わせて自動的にスピード調節をするなどが挙げられます。一部は自動走行になっていますが、主体は「人」であり、ドライバーが常に安全管理をする必要があります。
その一方で、レベル3に変わり、主体が車から人に変わることで、基本的な走行は自動運転に任せることができるようになります。条件が整っていれば、ドライバーがスマホで映画を見ていても、原理的には安全に走行ができるようになります。
また、走行領域に関しては、安全が確保された実験対象エリアや、周辺認知が比較的簡単な高速道路など、限定されたエリアにおいて自動運転が進んでいきます。一般の車や歩行者、バイクなどが自由に動き回り、予想外のことが起こりうる日常場面での実用化は、もっとも難しいレベル5に設定されています。
(画像参照元:国土交通省「自動運転のレベル分けについて」)
日本と世界における自動運転の現状
では、日本と世界における自動運転の現状はどうなっているのでしょうか?2020年はコロナの話題が多く、自動運転の進歩状況についてあまり耳にすることがなかったかもしれません。しかし、自動運転の技術は、ものすごいスピードで進んでいます。
日本
自動車は、東京オリンピックの際に自動運転レベル4の自動運転電気自動車「e-Palette」を披露する計画を立てていました。東京オリンピックが中止になったため、その機会は失われましたが、2021年にはレベル4の自動運転技術が大々的にお披露目される可能性があります。
また、ホンダはレベル3の自動運転技術を備えた車両を2020年中に発売する計画を発表しています。日産は、高速道路の同一車線上であれば、手放し運転が可能になる自動走行技術を搭載した車をすでに発売しています。
日本のテクノロジーは遅れていると言われることがありますが、日本が誇る産業の1つである車に関する最新のテクノロジーについては、世界でもトップレベルであるといえます。
ドイツ
レベル3の自動運転技術を備えた車両をいち早く販売して注目を集めたのが、アウディが2017年に発売した「Audi A8」です。
高速道路の一定条件下であれば、ドライバーに代わって、システムがすべての運転操作を引き受ける「Audi AIトラフィックジャムパイロット」を搭載しました。
また、BMWは2021年にレベル3.5の車両を販売予定、メルセデスベンツは2021年にレベル4の車両を市場導入予定など、ドイツ国内の大手カーブランドが相次いで最新の自動運転技術を投入してきています。
一般道路における自動運転車両の利用は法律が大きく関係してくるため、自動運転技術とともに、ドイツ国内における法整備が急がれています。
アメリカ
自動運転技術をすでに商用化させているのがアメリカです。ウェイモは、自動運転によるタクシーサービスを2018年から開始しており、2019年にはセーフティードライバーなしでのサービスも実施されました。レベル4程度の自動運転技術がすでに商用化されていると考えられています。
また、フォードは2021年にレベル4の自動車を大量に市場投入する計画を立てています。まずは配車サービスなどを中心に実用化を目指す予定です。
近年急激に需要を獲得しているテスラも自動運転に力を入れており、2020年に自動運転車両を100万台以上生産すると発表したことで話題となりました。
これらのことからわかるように、アメリカにおける自動運転の状況は、日本よりも一歩先を行っているといえます。2021年には、街中を多くの自動運転車両が走り回ることになるかもしれません。
中国
近年自動運転の分野で急上昇しているのが中国です。スタートアップ企業であるAutoXは、2020年12月に、中国の深センとその他の5都市で、人間のドライバーが一切運転をしないロボットタクシーサービスのテストを開始したと発表しました。
また、中国版テスラと呼ばれるニーオは、世界最先端のテクノロジーを搭載した自動運転車両を矢継ぎ早に公開しており、ものすごいスピードで実用化を進めています。
自動運転が進歩するには、5Gをはじめとした優れた通信環境が必要となりますが、中国は5Gの普及率でも世界トップレベルを走っています。また、新しいテクノロジーを積極的に取り入れていく国家基盤もできあがっていることから、今後急速に自動運転が日常生活に取り入れられる可能性もあります。
中国が持つ自動運転のテクノロジーとともに、中国政府がどのような戦略のもとに自動運転を広げていくのかにも注目があつまります。
終わりに
世界のテクノロジーはものすごいスピードで進化を遂げています。自動運転技術もここ数年で大きく変化し、運転手なしで移動できるようになる時代が近づいています。
これからの時代で大きな成功を収めるには、世界の最新テクノロジーについてしっかりと学んでいく必要があります。当サイトでは、ぜひ注目してほしい世界の主要テクノロジーについても積極的に配信していく予定ですので、ぜひまた遊びに来てくださいね。