COLUMN海外メディア戦略コラム
2025年の海外広報はここが違う!配信効果を最大化するプレスリリースの作り方
海外のメディアに、自社のニュースをどうすれば効果的に届けられるのでしょうか?
ニュースがSNSやAIによって要約されて読まれるようになった今、成果の出るプレスリリースの作り方は、数年前とは全く違います。
このコラムでは、海外へ情報発信(グローバルPR)するための実践的なノウハウを、2025年の最新トレンドに沿って分かりやすく解説します。海外メディアが求める情報、AI時代に対応した書き方、成果の測り方まで、今日から使える知識を具体的にお伝えします。実際の成功事例も参考にしながら、あなたの会社のニュースを世界に届けましょう。
目次
- 世界のニュースの「今」を知る:海外広報で何が変わったのか?
- 相手を知る:国や業界によって違う「響くネタ」の見つけ方
- 実践ノウハウ:成果を出す海外プレスリリースの作り方
- これはNG!:2025年にやりがちな失敗と回避策
- 成功例に学ぶ:日本のニュースを世界に届けたプレスリリース事例
- 明日から何をすべき?:次の3ヶ月で取り組むこと
世界のニュースの「今」を知る:海外広報で何が変わったのか?

ここ1〜2年で、メディアと広報の関係は大きく変わりました。世界の記者3,000人以上への調査では、AIやSNSが当たり前になったことで、「情報の正確さ」「独自データ」「オリジナリティ」をこれまで以上に厳しくチェックするようになった、という結果が出ています。
一方で、広報担当者もAIを使って文章の作成や下調べができるようになり、仕事のスピードは格段に上がりました。しかし、AIが作った文章をそのまま使うのは危険です。配信前の「人間の目による事実確認」が、これまで以上にプレスリリースの信頼性を左右するようになっています。
経済が不安定な今、企業は広告に慎重になり、短期で成果の出るものに投資しがちです。そんな中で広報・PRの役割は、「信頼できる元情報の発信源」として、検索、SNS、ニュースサイトなど、あらゆる場所に届けられる「シェアされやすい情報」を提供することにあります。
相手を知る:国や業界によって違う「響くネタ」の見つけ方
プレスリリースで伝えるべき内容は、国や業界によって大きく異なります。
- 北米・ヨーロッパのIT/金融業界:
法律やAI倫理、社会問題など、市場全体に影響を与えるテーマが好まれます。具体的な「数字」「日付」「対象地域」を明記し、専門家など第三者のコメントを引用すると、記事になる確率が上がります。
- 消費財やライフスタイル業界:
単なる新商品の情報だけでは、ニュースになりにくいのが現実です。SNSでの口コミや、サステナビリティ(持続可能性)、地域貢献といった社会的なテーマを絡め、「なぜ今これがニュースなのか」という理由を先に示すことが効果的です。
- アジア太平洋地域:
国際的な展示会への出展や、政府関連の発表、海外向けネット通販(越境EC)の開始など、具体的な「イベント」と絡めたニュースが注目されやすい傾向にあります。受賞歴や導入実績といった客観的なデータや、質の高い写真・動画をすぐに提供できるように準備しておくことが重要です。
実践ノウハウ:成果を出す海外プレスリリースの作り方
成果を出すためには、設計図が必要です。3つのステップで考えましょう。

- ステップ1:目的を決める
まず、配信の目的を「①記事にしてもらう」「②検索で見つけてもらう」「③問い合わせや来場を増やす」「④会社の評判を上げる」の4つに分類します。目的に合わせて、見出しや本文、写真、リンク先などを最適化します。例えば、記事化が目的なら冒頭100文字で記者が採用したくなる理由を、検索が目的ならAIが要約しやすい構成を優先します。
- ステップ2:AIに要約されることを意識して書く
今はAIがニュースを要約する時代です。「結論 → 根拠 → オリジナリティ → 引用」の順番で書くと、AIが重要な部分を拾いやすくなります。無駄な飾り言葉は削り、見出しは60〜70字程度で、数字や地名を入れて具体的にしましょう。
- ステップ3:配信のタイミングと届け方を工夫する
英語版のプレスリリースを基本としつつ、特に届けたい国や地域向けに150文字程度の短い要約を用意すると親切です。そして、公開直後の「最初の6時間」が勝負。事前にリストアップした記者に直接メールを送ったり、会社の公式SNSで「ニュース」として投稿したりして、一気に情報を広げましょう。
これはNG!:2025年にやりがちな失敗と回避策
せっかくのプレスリリースも、少しのミスで読まれなくなってしまいます。
- NG1:中身のない、決まり文句のコメント
「私たちはこの度の発表を大変嬉しく思います…」といった定型文ばかりでは、AIに要約された瞬間に価値がゼロになります。
【対策】 コメントは、必ず「新しい事実」とセットで語りましょう。「〇〇という新事実により、ユーザーは△△できるようになります」のように、具体的に書くことが大切です。
- NG2:実績データと本文が離れている
実績や受賞歴などを「詳細は別紙で」と後回しにすると、記者が確認する手間が増え、記事化されにくくなります。
【対策】 重要な数字や証拠は本文中に記載し、高画質な画像やグラフはすぐにダウンロードできる資料集(メディアキット)にまとめましょう。
- NG3:AI任せで、人間のチェックがない
AIが書いた下書きは便利ですが、会社名や日付の間違いが残っていると、一瞬で信頼を失います。
【対策】】 必ず2人以上で事実確認を行うなど、公開前の「人間の最終チェック」を会社のルールにしましょう。
成功例に学ぶ:日本のニュースを世界に届けたプレスリリース事例

- 【イベント】自治体:ベルリンの国際見本市「IFA」への出展
「東京」が「ベルリン」で「サステナブル技術」を披露する、という内容。「どこで」「いつ」「何を」が明確で、海外の読者が関心を持つ理由に答える構成です。
- 【海外通販】アパレルブランド:海外向けオンラインストア開設
海外向け通販の開始を、ただのニュースではなく「日本の優れたファッション文化を世界に届ける」というストーリーと共に伝えました。サイトURLと開始時期を明記し、読者の行動を促す良い例です。
- 【日本初】不動産テック:日本初の100㎡級3Dプリント住宅が完成
「日本初」というニュース性に加え、「予約開始時期」や「AIによる自動建築」という未来の展望を示すことで、メディアの関心をさらに高めました。
- 【エンタメ】夏フェス:海外向けライブ配信
ライブ配信の対象国や視聴方法を具体的に案内し、海外のファンにとって「自分に関係のある、役立つ情報」として提供している点が優れています。
明日から何をすべき?:次の3ヶ月で取り組むこと
2025年の広報は、AIを前提に、情報の「質」で勝負する時代です。次の3ヶ月で、以下の3つを必ず実行してください。
- プレスリリースの構成を見直す
AIに正しく要約してもらうため、社内のテンプレートを「結論 → 根拠 → オリジナリティ」の順に書き換える。 - メディアリストを更新する
自社の業界や、特に情報を届けたい国・地域で、最も影響力のあるメディアはどこか、改めてリストアップし直す。 - 配信直後の「初動」をルール化する
プレスリリース公開後6時間以内に行う「記者への直接連絡+SNS投稿」といった一連の流れを、チームの業務マニュアルに落とし込む。
広告への投資が慎重になる今だからこそ、信頼を土台にしたニュース発信は、会社の未来にとって価値ある「資産」となります。海外プレスリリース配信を、コストではなく「費用対効果の高い資産づくり」と捉え、今日から実践していきましょう。
まとめ
読者が要点を持ち帰り、行動に移せるようにシンプルに締めくくりました。
2025年の海外広報を成功させるには、「①信頼できる元情報」「②相手に合わせた伝え方」「③配信直後のひと押し」の3つが不可欠です。AIがニュースを届ける時代だからこそ、AIにも記者にも分かりやすい、中身の濃い情報発信が成果を分けます。
海外プレスリリースは、目的別に作り方を工夫し、「決まり文句の多用」や「AI任せのノーチェック」といった失敗を避けましょう。ご紹介した成功事例のように、「なぜ今、これがニュースなのか」という理由を明確に示すことが大切です。
まずは次の3ヶ月で、プレスリリースの書き方を見直し、メディアリストを更新し、配信後の動きをチームでルール化することから始めてください。その一つ一つの積み重ねが、国境を越える信頼を育てていきます。



